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電子書籍の波が押し寄せる中で、ここまで紙の本の質感にこだわる出版社があるということ自体が驚異的だ。
アーティストとの交渉に世界中を飛び回り、一冊一冊の本の仕上がりに怖るべき情熱でのめり込む。
僕は思う。「本は商品だ」。
シュタイデルは思う。「本は作品だ」。
商品にしなくても、世界中のシュタイデルのファンが、彼の出版社をビジネスとして成立させる。
アートとビジネスの奇跡のような均衡。
忘れていた本造りの全うな姿勢に、しばし打ちのめされた。
見城徹(幻冬舎 代表取締役社長)

顔を見ること、言葉を交わすこと、手で触れること。
本来はコミュニケーションの基本であったはずのこれらの直接的な方法を、
私たちはどこかへ置き忘れたまま日々の暮らしを送っている。
すべて間接的に済ますこと、それこそが便利な生活なのだとでも言うように。
しかし、私たちが手にしているはずのその便利さは、
匂いを嗅いだり、重さを感じたりといった身体的な経験と
引き換えに与えられたものであることを
シュタイデルの本を巡る仕事ぶりを見ていると、気付かざるを得ない。
この作品は、本が作られる魅力的でスリリングなプロセスを
追いかけた作品であると同時に、
身体性を失いつつある現代人の暮らしに多くの示唆を与えてくれる、
優れた文明批評でもある。 是枝裕和(映画監督)

印刷は、複製? 再生?
それらはすべて芸術となりえることを証明している 平間至(写真家)

よいものづくりに必要なのは、DIY精神だ。
オリジナルなものは、そういうふうにしか生まれない。
たいへんおこがましいですが、彼のポジション、
いつか狙ってみようと思います。 菊池亜希子(『マッシュ』編集長)

一つひとつていねいに、人との会話もとり混ぜて、
大切なポイントには必ず手を止め、どんなふうに心をこめるのか、
そんな上質な仕事の仕方が学べる、とてもいい映画です。
松浦弥太郎(『暮しの手帖』編集長)

メールで打合せをせずに、ちょくせつ人と会う。
誰かのデータに頼らず、自分の五感を研ぎ澄ます。
格好よくて、精度の高い仕事は、そんな風にして出来あがるのだ。
幅允孝(ブックディレクター)

シュタイデルは、いまや伝説になりつつある出版社だ。
前からなぜこんな一流の写真家たちの写真集を、次々に出せるのか疑問だったのだが、映画を見て合点がいった。
情熱と狂気、「世界一美しい本」を作るためには、何よりもそれが必要だったのだ。
飯沢耕太郎(写真評論家)

映画のほとんどは、写真集の打ち合わせのために、シュタイデル自身が世界中に散らばる写真家たちに会いに行く旅の様子なんだけど、シュタイデル本人も言うように、刷り出した紙を手にした時の顔が、一番イキイキしてる。紙の本を心から愛してる。写真の価値に、編集と製作コストと印刷製本たぶん流通までの技術の全てを知り尽くしかつ決済権があるのだから、打ち合わせの無駄がないことといったら。伝言ゲーム一切なし!!羨ましくてヨダレがでた。
内澤旬子(イラストルポライター)